マーク 大会長挨拶

第32回日本POS医療学会大会を開催するにあたり

標記の大会について、来る平成22年3月27日〜28日の両日にわたり昭和大学キャンパス内にて開催する予定です。現在鋭意準備中です。そこで本大会の特徴など少々ご説明を申し上げ、また多くの方々のご参集を賜りたくここにご挨拶を申し上げます。

日本POS医療学会大会は、日野原重明会頭、並びに関係者皆々様のご努力、熱い思いによって既に30年余の歴史を誇ります。それを引き継ぐ一役を担うにあたり身の引き締まるところではありますが、また大きな名誉であるとも感じております。まずは、関係各位に深く御礼を申し上げます。

さて、その30年余の間に医療を提供する我々医療者と、それを受ける患者さん、ご家族との関係は、劇的に変化してきたといっても過言ではありません。ここには医療訴訟や医療崩壊などの、言わば負の側面も多々俎上にのるところではありますが、日本POS医療学会が主張し、発信してきました、例えば診療記録のあり方、およびその背景たる理論的、思想的な根拠などは、患者‐医療者関係を改善し、発展させるための大きな原動力となっていたことも指摘しないわけにはいきません。

以上のことを強く意識しながら、昭和大学での大会の主題として、”専門職の自律” professional autonomyを考えるに至りました。これは”医職の自律”としてしばしば言及されますが、ここでは診療記録を記載しながら、日々飛び廻っている我々多職種の医療職が「”その道のプロ”として自らの背筋を伸ばして、自らを律しながら仕事をしよう」という意味です。診療に関する記録をきちっと記載し、チーム医療に資する、チーム医療を円滑に行う、医療の質を向上させるなどは、この考え方に含まれるはずです。 そして、もしも我々の職場において困難な局面が生じたなら、我々を含めて関係する当事者らは知恵を絞りながら対応します。そして、その折にも基本となる姿勢は”プロとしての自律”に他なりません。これがプロというもので、社会もこのことを望んでいるに違いありません。

詳しいプログラムの内容はこれから詰めていくことになります。そこでは上述の主題”医療専門職の自律”と診療記録のあり方などに関連して、卒前・卒後の教育をどのようにすべきか、病院外にも展開する医療があればそれらの記録はどのようか、それらを包括して医療の質やあり方についてどのように発展させていくことができるだろうかなどと、議論すべき事柄は多々ありそうです。一般演題と合わせて大いに議論を深めたく思います。

どうか皆々様には昭和大学キャンパスに足を運んでいただき、盛会を期したく思います。皆々様のご協力、ご支援を心からお願い申し上げます。

第32回日本POS医療学会
大会長 有賀 徹
昭和大学医学部救急医学講座・昭和大学病院診療録管理室